「さっさと終わらせて家に帰ってやれ」

「ああ」

 アリアは頷いた。

 オースター島で、子どもたちと一緒にオーロラを見るのだ。そして、本当にどうしようもなくなったとき、アリアは夫を殴ってやらなければならない。そう約束をした。約束は守らなければならない。


 飛行艇は学舎通りの狭い道を走り始める。

 その前方に飛竜が居座っていた。

「おらぁ野郎ども! 支部長が飛ぶぞ、道を開けろぉ!」

 傭兵たちは飛行艇が飛び立つための滑走路を作るため、邪魔な飛竜に向かって突進していった。

 魔族討伐なら慣れている。

 数人ずつで即席のパーティを作り、一時的にでもいいから飛竜の動きを押さえつけてしまえばいい。そしてそれを許さない星府軍の兵士たちも、地の利を生かして搦め手で攻めていく。


 かくして、飛行艇は飛び立った。

 地上よりも激しい戦闘区域となっている空へと向かって。