空よりも高く 海よりも深く

 フェイレイたちを見送ったアリアは、司令室と連絡を取る。

 戦艦ティル・ジーアは砲撃しながらも、ゆっくりと西の空──皇都方面──へ移動している。その周りにいる護衛艦は二艦だけティル・ジーアに寄り添うようについていくが、一艦だけは南、王都フォルセリアへ向けて進んでいくのが見えたのだ。

「王都民の避難状況は!」

「百パーセントです!」

「アイザック将軍に戦艦を出せと言え! 敵艦が迫っていると!」

「了解!」

「ティル・ジーアへ文句は言えそうか!?」

「通信は遮断されてしまっています!」

「話す気はないということだな、クソが!」

 リディルを引き渡せばセルティアを戦火に巻き込むことはない。アレクセイはそう言っていたが、それはリディルを納得させる口実に過ぎなかった。

 そうだろうとは思っていたが、実際にこうも騎士道に反したやり方を見せられると腸が煮えくり返る。

 あの戦艦の中から燃え盛るギルドの街並みを見て、あの子がどう思うか。

 アリアがギリリと奥歯を噛み締めながら各地への指示を出していると、ブライアンにビルの中の司令室へ行くように言われた。司令室はいざという時に、部屋ごと地下へ潜ることが出来る設計になっている。そこにいれば安全だろうが。

「アホか。私は戦艦から降りてくる輩を叩き潰すのだ。中に引きこもっていられるか」

「しかし、支部長にもしものことがあれば誰が指揮を」

「その時はお前に任せる。頼んだぞ」

 アリアはブライアンの肩を叩き、街中へと次々に降りてくる黒い飛行艇を睨みつける。

 魔力による防御壁は、同じく魔力による攻撃を防ぐ。だが物理的な攻撃は通してしまうのだ。そう、人同士の争いは防げない。星府軍は蟻の子すら見逃さないつもりだ。