アリアは怒鳴りながら早足で歩きだした。馬鹿息子はあれでも『英雄』などと呼ばれる実力者だ。手練れが揃うこのギルドの職員たちでも、止めることは難しいだろう。

「ブライアン、あの馬鹿はどこに行くと思う?」

「十中八九、発着所でしょう。戦艦に行くには飛行艇が必要です」

「だろうな! よし、そこで待ち構える!」

「分かりました」

 ブライアンはアリアの半歩後ろを歩きながら、彼女の横顔を伺い見た。

「……嬉しそうですね、支部長」

「ふん、そうか?」

「はい、非常に」

 ブライアンの言う通り、アリアの顔には不敵な笑みが浮かんでいた。

 こんな事態ではあるが、久しぶりに胸が躍っていた。