アリアは惑星王の置かれている状況が悪いものでないことを祈りながら、ギルドに帰ってきたフェイレイとリディルにヴァンガードを引き合わせた。

 『セルティアの英雄』として名を知られているフェイレイとリディルは、もうアリアすら超越する技量の戦士だ。最近の過酷に詰め込まれた任務にも、文句を言わず対応している。

 そんな頼もしい二人に預けるのが、先日魔銃士候補生に昇格したヴァンガードだ。

 候補生となった者には指導員が付き、実際に任務をこなしながら腕を鍛えていく。今は人手不足のため候補生とはいえ立派な戦力だ。即戦力になることを期待する。

 とはいえ、最初から難易度の高い任務に就かせるわけにはいかない。エスティーナ町長から来ていた『調査依頼』の任務を与え、明朝発つようにと指示を出しておいた。調査だけならば戦闘に慣れていないヴァンガードがいても熟せるだろうという判断からだ。

 皇女殿下の護衛を務められるだけの技量、そして……何が何でも生き延びられるだけの技量を求められ、育てられてきたヴァンガードは少し屈折して見えた。

 フェイレイとリディルは『英雄』と呼ばれてはいるが、傭兵としての経験はまだ5年足らず。それなのに候補生を指導する立場でもいいのかと、そう疑問に思うフェイレイに対し。

「ええ。エインズワース家はギルド創設時からずっと、優秀な精霊士を輩出してきた名門です。ですから、その名を護るために、父は僕をギルド支部長のお子さんたちと仲良くさせたいんです。おまけに、フェイレイさんたちは支部長の身内という肩書きなど必要ないくらいの実力者ですからね。そんなパーティに入れば自然とエインズワースの名前も売れる。……そういうことです」

 そう、流れるように説明をした。

 エインズワース夫妻が何と言って彼を教育してきたのか、窺い知れる言葉だった。