また皇都でクーデターまがいの事件が起きているのではないのか。

 アリアはそう当りをつけてブライアンに皇都の様子を調べさせたが、予想外の事態を知らされた。

「ターニアギルド同様、皇都本部とも連絡がつきません」

 ブライアンが難しい顔で報告する。

 皇都の様子を調べるのであれば、ギルド本部に連絡を取った方が早いと判断したブライアンだったが、星府軍に滅ぼされた可能性が高いターニア国の支部同様、本部とも連絡がつかないという。

 隣国のストランド、ワイナルをはじめとする東の大陸にあるギルド支部に連絡をしてみたが、どこも皇都とは通信出来ないとの回答だった。更に西南北、それぞれの大陸に散らばるギルド支部に連絡してみたが、どこも駄目だった。

 ならば直接目で確かめるしかないと、諜報部隊が皇都へ乗り込んでいった。調査結果はこれからだという。

「……一体何が起きているんだ」

 うまく情報を得られないことにヤキモキするところではあるが、引き続きブライアンに皇都の様子を探らせることにして、アリアは支部長としての仕事に戻る。

 最近の報告書には魔族による被害の増加から、民からの不満の声も多々あった。

 今はパーティ編成を常の4人以上から3人へ、腕に覚えがある者ならば2人とし、増えた依頼を捌いている状態である。

 しかしそれでもまだ足りず、傭兵たちは休む間もなく出動している。このままいくとブライアンが予想した天変地異が起こるまでの間に、肝心の傭兵たちが疲弊してしまう。フェイレイやリディル、そしてアリア自身もこのところ、まったくアストラには帰れていなかった。

 その書類整理の合間に、ふと顔を上げる。

 ランスへの定時連絡の時間だ。

「ランス、元気か?」

 書類整理の手を休めることなく、通信機の光で立体映像として浮かび上がった夫へ声をかける。