ランスはアストラ村の巡回をしていた。

 現在村は倉庫兼避難所となる地下シェルター建設のため、大勢の職人たちが出入りしている。荒くれ者が多い建設業者たちと村民がトラブルを起こさないよう、マメに見回りをするのも自警団の仕事だ。

 その見回りの途中。

「フェイ坊にちゃんと教育してやったかぁ~?」

 ランスは共に見回りをしているニクスに、からかい交じりに肩を叩かれた。もう半年ほど前になるか、惑星王の成婚式の祭りのときの求婚騒動を、同じく子を持つ友人に相談してみたところ。

 このように、顔を合わせるたびにからかわれるようになったのだった。

「うん……まあね」

 ランスは苦笑ぎみに応える。相談する人を間違えたのだろうな、と思いつつ、過去は変えられない。

「リディルちゃんを嫁にもらうつもりならしっかりしとけよ? 一人息子なんだからさ。お前も孫の顔が見たいだろ~?」

「そうだね」

 確かに、孫の顔は見たい。ランスは頷いた。

 フェイレイは早くからギルドに行ってしまったせいか、父子の間でするべき教育が疎かになってしまったことは否めない。そこはランスも反省する。

 しかしそれにしても、将来のためもあるが、青少年による犯罪防止のためにも教育は必須で、一応村の学校でも、ギルドで受ける義務教育の中にも性教育は組み込まれているはずだった。なのにフェイレイは一体何を学んでいたのだろうか。

 そう疑問に思い担当教官に確認したところ、授業中は任務や訓練に疲れて寝ていることが多いとのこと。

 フェイレイは剣技が大変優秀であるために、多少のことには目を瞑ってもらっていたらしい。それにしても改めて見せてもらった成績は酷いものだった。アリアなどは憤慨して拳骨を飛ばしていた。