「それで、フェイの方はどうだ」

「はい、ご子息はうまく周囲に馴染み、順調に対人関係を構築されています。貴族方とも適度な距離をおきつつ、良い関係が築けているようで」

 ギルドに入ると、まずは貴族の子息たちから手痛い歓迎を受ける。教官の中にすら貴族を贔屓する者がいるくらいだ。

 だがそれを乗り越えていけば認められる。フェイレイはすでに周囲から一定の評価を得ているようだった。

「そうそう、フェイレイさんも女の子から人気のようですね。よく呼び出されて告白されているようです」

「は? あれがか?」

「はい。愛嬌の良さが人気の秘訣なのでしょう」

「ふうむ、そうなのか。さすが私の息子だな」

「いえ、ランス殿のお血筋かと」

「殴られたいのか貴様」

「滅相もない」

「それで、フェイはどんな対応をしているんだ。まさか告白を受けているのではあるまいな?」

「それはないようです。そもそも本人に告白されているという意識がないようで」

「どういうことだ?」

 かくかくしかじか、ブライアンは説明した。

 フェイレイは「付き合って」と言われて「どこまで?」と返したり、「好きな人いるの?」と訊かれて「家族とか友達とか」と答えていた。正面切って言われた「好きだー!」という叫びには、「ありがとー!」といい笑顔で返して終わった(番外編『鈍感な彼』参照)。


「鈍感系主人公か!」

「支部長、メタ発言はやめてください」

「鈍い鈍いとは思っていたが、まさかそこまでとは……我が息子ながら情けないっ……」

「支部長の血がいかんなく発揮されていて喜ばしい限りです」

「貴様目ん玉潰すぞ」

「仕事が捗らないのでご勘弁ください」



 そんなやり取りで、今日の報告は終わった。