しかし通信機を設置したところで、リディルの情熱は止められなかった。

「あのね、魔力を測定してもらったら、石が割れちゃったの。全属性に適性が出てて、精霊士の先生に『是非入学しなさい』って言われたの。危険な任務もきっと大丈夫だって言われたよ」

 見学に行ったことを報告するリディルは、無表情ながら興奮していることが分かった。白い頬がほんのりと赤く染まっているのだ。

 勝手に一人で行動したことを咎める間も無くそう報告されたものだから、ランスも強く叱ることが出来ない。リディルを送るために一緒に飛行艇で帰ってきたアリアも、少し疲れた表情だ。

 リディルの成績はその日のうちに支部長室へと届けられ、精霊士養成学校から正式に入学を打診されたのだ。

「精霊石が割れるとは……」

「それは喉から手が出るほど欲しい人材だね……」

 これで精霊石を割ったのはランス、フェイレイに続いて三人目だ。この一年で二人も割ったわけだが、通常、石が割れるほどの魔力を保有している人はいない。彼らが異常なのだ。

 しかもリディルはランスやフェイレイと違い、ちゃんと精霊を召喚出来る、使える人材だ。ギルド支部長としては、こんな人材を逃す手はない。だが親として、大事な娘を先代の惑星王から預かる身として、どうしても認めるわけにはいかないのだ。

「あとね、フェイに会ったの」

「学校でか?」

「うん。精霊士の先生に褒められてるのを見て、とっても喜んでくれた。これなら大丈夫だねって、言ってくれたよ」

「あの馬鹿息子おおおおー!」

 簡単に折れてしまった息子に、アリアは怒り心頭だ。リディルはフェイレイの言うことなら聞いたかもしれないのに。

「……どうしても、ギルドに入りたいのかい?」

 ランスの言葉に、リディルは頷く。翡翠色の瞳に強い意志を感じたランスは、ふう、と溜息をついた。

「リディル。やるなら、誰にも負けない精霊士になるんだ。フェイだけじゃなく、周りの人たちみんなを護れるような、強い精霊士に。その努力が出来るのなら、父さんは認めるよ」

「父さん……」

「ランスっ!」

 リディルは目を輝かせ、アリアはバン、と机を叩く。