「学校ではどうだった?」

「朝は俺が橋まで送っていったんだけど、帰りはお友達と一緒に帰ってきたよ。フェイがギルドに行くかもしれないって皆知っていてね。上級生の子たちが明日から迎えに来てくれることになったよ」

「そうか、それは有り難いな。私からも礼を言わねば」

 この村は辺境の地故に魔族に襲われやすく、だからこそ村人たちの絆も強い。一部例外はいるものの、この二年でリディルも村人たちに仲間だと認識されているのだ。

 その中にいれば、リディルもきっと。

 一人で立ち上がれるくらいにはなれる。


「リディル、お土産だ。虫歯になるから、一日一個までだぞ」

 アリアはお土産に買ってきた飴玉の入った小瓶を、リディルの掌に乗せてやった。色んな色の飴玉が入った小瓶を見て、リディルは少しだけ目を輝かせた。

「……ありがとう、母さん」

「どういたしまして」

 アリアはお団子頭に結っているリディルの頭を撫でてやる。

 以前この髪型にしてやってから、リディルは大抵この髪型に結っていた。その髪型を見るたびに口元が緩んでしまうのは、アリアが親バカだからだろうか。

 順調に心を寄せてくれている娘から「ありがとう」と言われる度に、将来までの妄想が駆け巡り、最終的には涙ぐんでランスに慰められるアリアだ。


 この日もちょっとだけ涙ぐんでしまい、ランスに頭を撫でられながらダイニングへ移動した。

 すっかり食事の用意が整っている食卓につき、そこでフェイレイが身振り手振りを交えながらギルドでの出来事を報告をするのだった。