「それを軽く振ってみな」

「はーい」

 フェイレイは片手で勢い良くそれを振ってみた。

「どうだい?」

「うーん、よく分かんない」

「そうだな……体格的にそのデカさがいいかと思ったが……ちと軽いみてぇだな。なら、これはどうだ?」

 ゴートンは一回り大きな剣をフェイレイに渡し、また振らせてみる。それもフェイレイは首を傾げ、ゴートンも次の剣を差し出した。

 それを何回か繰り返していくうちに、二人して渋面を作った。

「うーん、短剣じゃ軽過ぎる。かといって長剣にすると腕の長さが足りなくて禄に振れやしねぇな」

「どれもなんか変だよー」

「だろうな。お前さん、ちまっこいのに体のバランスがいいな。父ちゃんと母ちゃんに色々仕込まれたか?」

 ゴードンはアリアに視線をやり、彼女が意味ありげにほほ笑んだのを見て、彼もニヤリと笑った。

「成る程ねぇ。こりゃ将来が楽しみだ。……お前さんみたいな子どもに打ったことはねぇが、ヴァトライカでいってみるか。ちと値は張るが、いいかい、英雄さん」

 ゴートンはパチパチと算盤を弾き、アリアに値段を提示する。

「ああ、構わない。この子に合うもの作ってやってくれ」

「あいよっ。入学は?」

「二週間後の予定だ」

「ギリギリだな。まあ、それまでには用意しとくから、また立ち寄ってくれ。お前さんにピッタリな剣を作ってやるから、楽しみにしてろよ!」

「うん、ありがとうゴートンさん!」

 念願の自分の剣が手に入るとあって、フェイレイは顔をニヤけさせたまま店を出た。その締まらない顔のまま、リディルとランスへのお土産を買い、飛行艇でグリフィノー家へと向かった。