再び、太陽が真っ赤な空を創る時間となった。



俺と瀬羅は二人で肩をくっつけながら塀にもたれていた。ストン、と俺の傍らに猫が転がり込んでくる。



「仲間意識でも持ったかな。」



そっと頭を撫でてやるとゴロゴロいいながら丸くなった。



「あははっそうかもしれないですね。」



瀬羅も猫を覗き込む。猫は瀬羅を見上げて「にゃぁーぉ。」と鳴いてみせた。その顔はなんだか嬉しがっているように見えて。



こっちもなんだか嬉しくなった。



「さて、と。また迷わないうちに帰らないとな。」



「じゃあ私の身の上話は明日ですね。」



立ち上がる。


うん、昨日よりも軽い。



今日なら、ちゃんと帰れるかもしれない。




「お父さんとか義母さんとか義弟さんと・・・ちゃんと話せると良いですね。」



「ああ、頑張ってみるよ。」




一歩を踏み出す。


頼もしい存在が在るから怖くは無い。



今日は後ろを振り返らず、力強く地面を踏んでいった。



「明日も明後日も・・・その次もまたその次も・・・か。」