玄関には明かりが灯っていた。最近付け替えられたばかりの蛍光灯は眩しかった。

靴の数から推定するに、帰ってきているのは一人だけのようだ。


なるべく音をたてないように進む。これにはだいぶ慣れている。


部屋の近くまでやってきた時、俺は疑問を抱いた。



居間に・・・誰も居ない。普通ならここに集っているのだが・・・。



そしてふと、洗面所のほうを向いてみると。


そこには明かりがついていた。


何だ、そこに居たのか。こんな時間に風呂ってことは母さんか?それとも、弟がトイレにでも行っているのだろうか?



しかしどっちにしろ好都合に変わりは無い。俺は疑問を解消して何だかスッキリしながら、それでも半ばドキドキして部屋に飛び込んだ。


そしてすぐさま鍵を閉めた。



「ふうー・・・セーフかぁー・・・。」


俺はそう呟くと、部屋を確認。


よし、何にも荒らされて無いな。あいつら・・・俺がどっか行ってると何するのか分かったもんじゃない。


加えて俺が追い出された、となると何かしらされている可能性が高かったのだが。




何にも無い。俺の唯一家の中で心を許せる場所だ。



そして、俺は迷うことなくベッドに飛び込み、すぐさま眠りについたのだった。