耳をふさがなければ其処には居られなかった。


周りの音全てが耳障りで、どんなに叫ぼうとも俺の存在を周りに分からせることはできない位。



だが、ここを抜けなければあそこには辿りつけないんだ。


俺は目を閉じ、一呼吸置き次の瞬間に全力で走った。



雑踏をすり抜け、やっと視界にあそこに通じる路地裏が映る。



夢中でほの暗い細道をくぐり抜けた―――。