げっ!

いちいち覚えてるんだ。

「あ、あの時は、結婚とか憧れてたし彼氏がいなかったからそのつもりだったけど、今は別にそういう気持ちで行くんじゃないし」

「…………」

お互いに見つめあったまま、私達は黙り込んだ。

愛児は私の瞳をジッと見つめたまま、唇を引き結んでいる。

そんな不機嫌な表情ですら、素敵だ。

ああ、かっこいい。

私はそう思った自分が何だか負けたような気がしたから、愛児の傍まで歩いていった。

いや、勝ち負けの問題じゃないんだけどね。

ベッドに膝をかけて、愛児を見つめる。

「あのさ」

「なに」