私が驚くと、山城さんがこちらに近づいて手を伸ばした。

それから手の甲で優しく私の頬を撫でると、白い歯を見せて爽やかに微笑む。

「今度、俺の家に招待するよ。手料理を御馳走するから」

「はい!」

「じゃあね。近々電話する」

私は山城さんに手を振った。

……料理の出来る男って、いいな。

うん、いいわ。

「おい、行くぞ」

愛児の声が頭上で響き、私は我にかえって返事をした。

玄関を開けながら、愛児は私にムッとしたまま問いかける。

「今の奴かよ。この間声かけられて一緒に飲んだ奴って」