だんだんと視界が歪んできて、私は自分が泣いているのに気付いた。

「乃愛」

「けどね、そんなダサい私が目障りなら関わらなきゃいいじゃん。部屋になんか誘わなきゃいいじゃん。……昨日、映画の後、私を誘ったよね?あんたはイケメンなんだから私なんかと寝なくてもいいじゃん。……キスだって、なんでするのよ?」

「乃愛」

「……もう、離してくれないかなあ……」

スルリと愛児の腕が解かれ、私の肌に新しい空気が触れた。

私は少しだけ出た涙を拭うと、愛児から離れた。

「今ね、私、一瞬嘘つこうかなって思ったんだ。だって独りで晩御飯食べに行くなんて知られたら、またダサい女だってバカにされると思って」