「乃愛」

の、の、のあ!!

私はたまらず振り返って愛児の顔を睨んだ。

「下の名前で呼ぶな!しかも呼び捨てすんなっ!」

「いーじゃん、名字おんなじだし。俺の事も愛児でいーからさ」

「で、なに、神崎さん」

「だから、愛児でいーって」

「もうっ、ついてくんなっ」

「出入り口はこっちなんだから、仕方ねーだろ」

くそっ!

私は舌打ちしながら早足でエントランスを出た。

「待てよ」

「何でよっ」