「母ちゃん…それ…難しくねぇか?」
「お礼も言えていないのよ
だから言いたくて」
「……でもなぁ…」
名前も知らない男女ふたり組を探すなんて
無謀にもほどがある
「頼める人…シゲちゃんしかいないのよ」
その言葉に俺は無意識に反応した
母ちゃんが
あの厳しかった母ちゃんが
俺に頼みごとをしている
聞いてやっても…良いか
最後かもしれねぇし…
「わかった
だけど…アテにしないでくれよな?」
「ありがとう…シゲちゃん!」
「色々質問するからな」
俺は常に持っているメモ帳に
母ちゃんが覚えているふたり組の特徴を書いた
無謀な人探しが
始まった


