だけど勉強が嫌いなわけじゃなかった

だから入学した大学は教育学部だった




新しいことを覚えるのは好きだった

丸だらけの答案用紙を見るのも好きだった

嫌いだったのは勉強を強いる母だけ

窮屈な生活を送らせる母だけだった





教育学部を卒業した俺は

学校の教師になった

選んだのは高校

自分の中で1番楽しめた時期だったから

担当科目は1番成績の良かった数学

やり方を教えて「わかった!」という顔をするのも好きだった

俺自身「わかった!」という瞬間が好きだったのもある





俺が担任を持つことになった

初めての経験でワクワクしていた

しかし

俺は今まで知らなかった事実を知ることになる




俺が持つことになったのは2年生

その2年生が始業式を終えた次の日のことだった






職員室でその電話を受けた俺は

担任になって2日目のくせに

学校をいつもより早めに出た