学生と別れ
オレたちは研究所の入り口に急いで向かった
外は学生の言っていた通り
滝のように凄い雨だった
「…斗真…風邪引かないかな」
父さんが呟いた
…そう
雨が降っていると聞いて固まった理由はそれ
斗真の体調の問題だ
「どうする?
今日は研究所に泊まっていくか?」
さっきは父さんの申し出に甘えたけど
今回はそうもいかない
「明日オレ…5時起きで撮影行かねぇと」
「オレも明日はフロアの掃除で…
始発の電車に乗って行かないと」
「ボクは何も無いけど…
斗真の薬を2錠しか持ってきていないんだ
今は安定しているけど…
発作起きた時薬が限られちゃうから大変なんだ」
斗真は体質上
市販で買える薬は飲んでも効かない
病院で処方される特別な薬だ
1回に2錠飲むことが約束されている
2錠しか持ってきていないから
2回発作が起きた時2回目は対処できなくなるのだ
発作で死ぬことはないけど
意識を飛ばすと
適切な処置をしないと危険だ


