本を膝の上に置いたまま

松永先生が来るのを待っていると


ギュッと喉がしめつけられた気がした





「……ッ」




…マズいなぁ

ただでさえ自然の森での出来事以来

学校休み続けていると言うのに

ここで発作なんて起こしたらまた入院だ

僕は本をロビーの本置き場に戻しに行き

ふらふらとその場から離れた




歩いていると苦しくなくなってきた

…良かった

入院とかもう飽き飽きだよ




歩いていると喘息の発作の独特の咳が聞こえた

不意に視線を彷徨わせると

誰も近づかないような狭い通路に見知った人がいた

クラスメイトで僕と同じく休みがちな金森昌くんだ




声をかけて

持ち歩いている水を渡してあげる

そして色々と知らなかった――金森くんと黒岩さんが幼馴染だってこと――など聞いていると

今度は少しだけど胸が苦しくなった




…はぁ…困ったものだなぁ僕も