來兄が連絡してくれたようで
病院前には松永先生が待っていてくれた
斗真をストレッチャーに乗せると
松永先生は行ってしまった
処置室の前の廊下で
オレたちは座っていた
「…來真
聞いても良いかな」
「何?來兄」
「斗真が怒ったわけ」
「…何で怒ったって…」
「薬も忘れてどこか行くなんて変だよ
怒らないと何もならない」
「……じゃああれも怒っていた証拠…?」
「どういうこと?竜真」
「ファミレスを出て行く前…
斗真が自分のこと“俺”って言ったり
兄貴って呼んだりしたんだ…」
來兄はわかったかのように頷いた
「怒っている…というか
それは不安定な証拠だね」
「不安定…?」
「心が安定していないんだよ
だから自分のことを“俺”って言ったりしたんだよ
その前に斗真の心を刺激するようなこと言ったりされた?」


