薬などいれてあった鞄の中からパーカーを取り出し
今斗真が着るパーカーと交換する
寒いみたいで少しだが震えているので
一緒にオレの着ていた上着もかぶせてやる
「よしよし…」
濡れた髪も一緒に拭いてやる
熱が出てきたようで顔がどこか赤い
目を閉じているけど辛そうだ
オレは斗真を抱き上げた
濡れているベンチに腰かけたままだと
悪化の一途を辿るから
咳はしていないけど
辛そうに呼吸をする斗真を抱えながら
オレは空いた手で來兄と空兄に電話をかけた
斗真を抱き上げながら駅前へ向かうと
來兄と空兄がタクシーを停めて待っていてくれた
タクシーに乗りこみ黒木総合病院に向かった
「……平気か?」
時々声をかけると
斗真はほんの少し目を開けて
辛そうに頷いた


