「……!」
住宅街の一角にある誰もいない公園
そこにあるふたつのベンチ
その1つに斗真が座っていた
「斗真っ!」
視力が良い目に感謝しながら
オレは斗真の元へ駆け寄った
斗真は華奢な身体をくの字に曲げ
辛そうに咳と安定していない呼吸を繰り返していた
オレに気が付いたみたいで顔は上げたけど
何も言わなかった
「ほら…ゆっくりな」
傘をさしながら薬と水を渡して飲ませる
「…ウッ…ゲホゲホッ…ゴホゴホッ……」
むせたように咳をする斗真の背中をさする
「ゆっくりで良いから…な」
薬を飲んだ斗真は
雨で濡れている体をオレに預けた


