バイトをし始めて数カ月経った頃
オレを訪ねに見知らぬ男性が来た
「以前
キミがカメラアシスタントとして働いている姿を見てね
どうだろう?
キミさえ良ければ
仕事している所を写真に撮らせてもらえないか?」
その人はある出版社の幹部で
出版社は今度
頑張って働く人の写真を収めた雑誌を出版しようとしていた
オレは申し出にオッケーし
その特集雑誌の表紙を飾った
その雑誌が発売されて数日後
今度はまた見知らぬ男性が現れた
名刺には有名な芸能事務所の副社長だと書かれていた
「この間
仕事をする人たちを収めた雑誌に載っただろう?
実はあの後
その出版社に多くの問い合わせが来たんだ
あの雑誌の表紙を飾ったのは誰だ…とね
我が事務所の社長は
キミを誘った人の知り合いでね
キミのことを聞いたよ
どうだね?
キミさえ良ければモデルとしてデビューしないか?」
信じられなかった
夢だと思った
だけど頬をつねっても夢じゃなくて
「お願いします!」
オレの答えに副社長は満足そうに微笑んだ