梓紗は素直じゃなくて不器用なだけなんだ
本当は誰よりも相手のことを見ていて
本当は優しい奴なんだ
「……白羽?」
あまりにも返事がないので顔を上げながら問いかけると
白羽は胸元をぎゅっと持ってそのまましゃがみ込んでしまった
「白羽!?」
「ごめっ…すぐ治る……」
返事がなかったわけじゃない
返事が“出来なかったんだ”
白羽が持っていた薬の袋が床に落ちる
見てみると
オレは薬に詳しくねぇからわからないけど
心臓と呼吸器関係の薬だとだけわかった
「…はぁ……」
「白羽…平気か?」
「大丈夫」
「…お前……」
オレの目線の先がわかったのか
白羽が小さく溜息をついた


