「ねぇ樹
樹は好きな人いるの?」
「…俺?」
お前だよ
そう言いたいけど首を振った
「いねぇよ」
「そうなんだ…」
「そう言う萌は?」
「私もいないよ
だから美夜が少し羨ましい」
「……そっか」
そこから無言になってしまった
そのまま自宅へ着いて
ぎこちなく挨拶をして帰った
「樹
今萌ちゃんいたわよね?
懐かしいわね萌ちゃん
前はしょっちゅう家に来ていたのに
元気そう?萌ちゃんは
彼氏とかいるのかしら?」
「……さぁ」
上機嫌で話す母さんにそっけなく返事をして
俺は自室へ戻った
萌が描く未来に
俺はいますか?


