「……少し戻るわ」
それだけ言って昌の部屋を出て
もう1度自宅に戻る
「お母さん」
「ナイスタイミングだわ梓紗」
お母さんは手で持てるほどの小さな土鍋を渡してくれた
一旦テーブルに置いて中を開ける
入っていたのは猫じゃなくてあったかそうな玉子粥
お母さんの作る玉子粥は美味しくて
風邪を引いたアタシも作ってとお願いしたものだ
「お母さん
レンゲもつけてくれるかしら?」
「良いけど…
昌くんのお家で見つかるんじゃないの?」
「どこにあるかわからないから
家から持ってきた方が良いわ」
「…そうね
あのお家の台所は使われなさそうだものね」
お母さんはレンゲを持ってきてくれた
それを持って自宅を出て再び昌の家へ
部屋へ行く前にレンゲを台所で洗って
昌の部屋へ向かった


