「ちょっとあり得な~い!!
足捻ったくせにその後全力疾走ってどういうことよ」



医師の進藤先生はレントゲン写真を見ながら呆れていた。

体育祭翌日、あたしは今地元の接骨院に来ていた。
進藤先生には中学時代からよくお世話になっている。
ちなみに先生はいわゆるオネエだった。
なかなか強烈な先生だ。



「靭帯が断裂しているわけじゃないからまだよかったけど
それでもだいぶ重症だからね!!
一か月くらいは運動禁止!ぷんぷん!」


「ま、マジですか…?」



一か月も運動しなかったらさすがに体が鈍ってしまう。
そんな心配をするあたしを見て進藤先生はため息をついた。



「あのねえ、あなた運がいいのよ。
痛めた直後に全力疾走なんて普通なら断裂してるわよ。
そしたら一か月どころじゃすまないの!
ジョギングならまだしも本格的な運動なら手術して8か月前後よできるのは。
わかる?」



た、確かに8カ月も運動できないよりはましか…



「全くもう、あなたは本気になるとすぐ無茶するんだから…
一体どういうこけ方をしたのよ。
ただ転んだだけでそこまで重症だなんて
長年医師をやってる私でも見たことないわ」


「長年って先生まだ35じゃないですか」



そう言ったとたんキッとあたしをにらむ先生。
女性の年齢を言ってはいけないというあれですか。
でも先生一応男だよね…



「とにかく今は安静にすること!
そうじゃないと運動は許可できないからね」


「はい」


「素直でよろしい。2週間たったらまたいらっしゃい」


「ありがとうございました」


あたしは診察室を出た。