学校へ向かう途中、突然視界が暗くなった。
「そーら! おっはー! 」
「っわ、楓香? 」
「せーかーい! 」
パッと目の前に光が降り注ぐ。
楓香がだいぶきつく抑えていたようで、ぼんやりとした世界が広がっている。
「蒼空、おはよ! 」
「おはよ、楓香」
そのまま私たちは、並んで歩き出した。
「ねーねー、昨日のテレビみた? 」
「どんなやつ? 」
楓香があげたのは毎年夏休みの最後の方に放送される、バライティーものだった。
「ごめん、見てないわ。その時間道場に顔出してたから」
たまたま昨日は部活がなかったから、小学生の頃とかに通っていた剣道の道場に稽古しに行ったんだ。
あ、もちろんお盆は部活なかったよ。
それに休みも定期的にあったし。
そういう時はいつも道場に行く。
大人に混じって竹刀を振るのもなかなか楽しいもんだし。
それに昨日は徳和先輩を道場に連れて行ってあげた。
どうやら大学でも剣道を続けたいらしい。
「オープンキャンパスに行ったのは剣道が強いところばっかだよ」と、徳和先輩は苦笑いして言っていた。
それほど真剣になれたなら良かったと思うよ、私は。
私と試合するまで、どこかヘラッとした主将だったからね。