理「馬鹿なこと言わないでくれる?て言うか、いい加減手放して。」
そう言うと、意外とあっさり離してくれた。
早く帰ろう。でないと次は何を言われるか分からない。
理「じゃ、帰るから。今後一切、私に関わらないで。」
そう冷たく突き放す。
もう関わりたくない…誰とも。
翼「…なぁ、お前は一体何を恐れてる?」
ーーードクン。
思わず、帰ろうとしていた足がピタリと止まった。
理「……何の、こと?」
心臓が嫌な音を立てたがそれに気づかない振りをして平然を装う。
視線を神谷翼に向けると、黒い瞳が私を捕らえていた。
自信に満ち溢れた真っ直ぐな瞳。
まるで昔の自分を見ているようで、胸の中で黒い何かが騒ぎ出す。

