最後は呆気なかったね。
翼「理央、大丈夫か?」
すぐに翼が近寄って来て、サッと着ていた自分の上着をかけて手と足の縄を解いてくれた。
理「うん、すぐに来てくれたから大丈夫だよ。ありがとう助けに来てくれて。」
翼「当たり前だろ。それに礼を言うのは俺の方だ。下っ端の奴らや菜々夏を守るために奴らに着いて行ったんだろ?ありがとな。」
そう言って私をギュッと抱きしめる翼。
大好きな翼の匂いに包まれて安心する。
翼「ーー帰るか。」
理「うん!…あ、あれ?何でだろう…、足に力入らない。」
一生懸命に立ち上がろうとするけど足が思うように動かない。
思わず苦笑いして翼を見る。
どうやら、今まで緊張の糸を張っていたから大丈夫だったけど翼を見た瞬間に安堵して力が抜けきってしまったらしい。
翼「そうか、無理するな。」
理「え、翼ちょ、うわ!」
翼は軽々と私を抱き上げた。
俗に言うお姫様抱っこというやつ。
は、恥ずかしい…。
けど歩けない以上どうする事もできない。
理「…ありがと。」
翼「おう。」
きっと私の顔は今、これでもかと言うほど真っ赤なんだろうな。
そう思うと余計に赤くなりそうだったので何も考えないでおくことにしよう。

