ーガチャ
翼「…悪い、遅くなった。」
部屋に入ると、疾風、陽希、そして今まで泣いていたのか目を真っ赤にした菜々夏の姿があった。
けれど、そこに理央はいない。
疾「俺たちもさっき着いたところ。…その時にはもう理央ちゃんは奴らに連れて行かれた後だった。」
翼「ッ……そうか。」
俺はいつものソファーに座り自分を落ち着かせるために煙草に火をつけた。
分かってはいたが、改めて聞くと何とも言えない気持ちが自分を襲う。
なぜもっと早く奴らの目的に気がつかなかったのか。
自分の情けなさに苛立つ。
菜「ごめん、私何もできなくて…。理央は私たちを守るために自分から着いて行ったの。なのに、私はただここで皆を待ってることしか、できなくて…。」
そう言いながら泣き出す菜々夏。
そんな菜々夏の背中をさすりながら疾風が宥める。
理央は自ら奴らに着いて行ったという。
菜々夏や下の奴らを守るために。
疾「菜々夏が自分を責めることはないよ。結果的に理央ちゃんは連れて行かれたかもしれない。けど、菜々夏だけでもちゃんとここにいてくれたことで俺たちは安心できた。」
菜「…ッでも!」
翼「疾風の言う通りだ。それに、さっき下の奴らが言ってたぞ?怪我をした奴らの手当てを率先してやってくれたって。皆感謝してた。ありがとな。」
菜々夏は目の前で理央が連れて行かれ、何もできなかった自分をきっと責めているだろう。
だが、菜々夏の存在が今の珀龍神にとってどれだけ大きかったかと言うことを分かってほしい。

