理「私もそろそろ行こうかな。…翼、大丈夫?」




陸玖を見送った後、理央が俺の顔を覗き込む。


大きな瞳が俺を見上げる。つまり上目遣い状態。


それに思わずドキッとしてしまった。




こいつ、分かってやってんじゃねえんだよな…。


無自覚だからタチが悪い。




翼「あぁ大丈夫だ。心配かけて悪いな。」


理「ううん、それなら良かった。あんまり無理はしないでね?」


翼「あぁ。」





二人の間に少し沈黙が流れる。




翼「なぁ理央。今のことが片付いたら、どっか行くか。」



理「…え?」



翼「まだ二人で出かけたことなかっただろ?」




よくよく考えれば、理央と付き合ってもうすぐ2ヶ月だというのに、まだ二人でどこにも行ったことなかった。




理「行きたい!!翼、ありがと!!」



そう言うと理央は俺に抱きついてきた。


俺もそんな理央を抱き締め返す。



翼「決まりだな。なら、さっさと片付けねえとな。」



理「うん。楽しみにしてる!」



俺は理央から少し体を離すと、そっと理央の唇にキスをした。




翼「また明日迎えに来る。」


理「うん!また明日ね。」




そう言ってマンションに向かう理央を最後まで見送った後、俺もバイクに跨り再び倉庫に戻った。






†翼 side end†