サンタは袋から何かを取り出した!!

赤い六尺ふんどしだった!!

「オー!!ナゼ、ナゼビキニではないのですカ~!!」

サンタは、記号で表すと→orzこんなになった。響子は笑いを必死にこらえている。僕は、一抹の不安を抱えつつ、尋ねてみた。

「これ、どうするんですか」
 
「あなたが着用するのでス。サンタの願いは絶対です。ワタシは、こんな水着、恥ずかしくテ……」

ひものついたビキニパンツを穿いたあんたが言うことか!!とツッコミつつ、また雹が降ったらたまらないので、僕は仕方なく物陰で着替えた。やけくそだ!!

「これでいいんですか!?ええ!?」

キレているのは気のせいだ。「サンタ」にダメージはない!!むしろ、目は見開き、らんらんと光り、息はさらに上がった。

「こ、これはこれで……よいものですネ……。ほどよい筋肉、適度に焼けた肌……オー……」

僕は貞操の危機を感じて、急いで元の水着に着替えた。「サンタ」はつまらなさそうだった。

知ったことか!!


「では、お嬢さん」

サンタは袋を差し出した。響子は緊張の面持ちで握る。響子にビキニが当たったら。この変態サンタに見られてしまう……だが、僕も見てみたい……そんな葛藤に悩んでいる間に、サンタは何かを取り出した。

「えート……『花火大会VIP席鑑賞券』」

サンタは、しばらく考えて、ぱっと顔を輝かせた。

「花火!!あのウツクシイイベントですね!!テレビで見ましタ。しかも、3枚ありますヨ。あなたがたもいかがですか?」

「いいんですか!!??」

響子がうきうきと叫ぶ。花火大会が好きな彼女は、純粋にうれしいらしい。僕はといえば、ちょっと期待していたビキニが出なかったことに、ちょっと失望しつつ、「サンタ」に感謝した。


花火よ大会が始まるまで、僕たちはかき氷を食べながらいろいろな話をした。というか、むしろサンタの愚痴だ。最近の子供は、ゲームを要求するけれど、どのタイトルがいいかわからない、煙突もなければ戸締りもしっかりしている家にどうやって入ればいいのか、またトナカイが最近は反抗期で、えさも高くつく、ストライキもする、サンタは労働基準法がない、など。僕たちは面白がって聴いていたが、サンタにとっては大問題らしい。