「オマエ、なんて名前だ?」

「マサキ。」

「名前まで似てんだな。オレの名前はトモキだから。マサキってどんな字?」

「正しいに起きるって書くんだ。」

「漢字まで一緒か!!オレ、共に起きるでトモキだ。」

不思議な偶然に、トモもタクミも驚いて目を丸くした。

「その足じゃ一人で帰せねぇから、後で車で送ってやる。これも何かの縁だしな。」

「でもオレんち遠いよ?」

「えっ?」

トモはマサキの家の場所を聞いてまた驚いた。

「オレの地元だよ…。よく一人で来たなぁ。」

マサキは貯めていたお小遣いで、電車で2時間半もかけて来たのだと言う。

「マサキはそんなにトモに会いたかったの?」

タクミが尋ねると、マサキは嬉しそうにうなずいた。

「うん。オレ、トモのファンだから。」

「嬉しい事言うなぁ、オイ…。でもなマサキ、まだ小学生なのに、こんなに遠い所まで家の人に内緒で一人で来るのはダメだ。東京は危ないからな。」

「はーい…。」

トモとマサキのやり取りを見て、タクミがおかしそうに笑った。

「トモ、マサキの父ちゃんみたいだな。」

「なんだかなぁ…放っておけないだろ?」

「顔も名前も似てるしな。他人とは思えないんじゃないのか?」

「そうなんだよなぁ…。」