「そうだ。赤ちゃんの名前、結局まだ決まってなかったね。」

「そうだった。食事済んだらさ、一緒に決めようか。」

「うん。」

食事が済むと、ユウは二人分のお茶を淹れてテーブルの上に置き、マタニティー雑誌の付録の名付け本をレナの入院中の荷物の中から取り出した。

二人でソファーに並んで座り、名付け本のページをめくる。

ユウは気になる漢字の載っているページを広げてレナの顔を見た。

「男の子かな?」

「この間の健診では男の子じゃないかって。」

「だったら…オレ、使いたい字があるんだ。」

ユウがペンを手に取り、メモ用紙にその文字を書いた。

「なんで?」

「オレがギタリストだから。」

「なるほど…。じゃあ…この文字を上にくっつけて…。」

「なんで?」

「ユウがギタリストになってなかったら、私たちまた会えてなかったかも知れないでしょ?それから、ユウも私もみんなと会えなかった。だから、ギターが私たちをたくさんの人と繋いでくれたのかなって。」

「なるほどなぁ…。いいな、この名前。響きも優しいし。この子がまた、たくさんの人と繋げてくれるといいな。」

「これにする?」

「そうしようか。」