諒真さんはあたしを引っ張ったまま歩き続ける。 何する気なの? 「……ねぇ、離してよ」 「無理だ。跡をつけられてる」 前を向いたまま、彼は言う。 怖くて後ろを振り返れない。 「なぁ、少し怖い思いさせるかもしんねぇけど……大丈夫か?」 引っ張る手は一向に緩められない。 「え……なんで…………?」 「あんまつけられるとうぜぇからな」 そう言った諒真さんは……顔は見えないのに、何故か笑った気がした。