さっきから玄関の電気を点けたり消したりしている奴がいる。
パチパチパチと、何度も何度も。
このラブホは週末はいつも満員なのに、この部屋だけ空室になっている。
良かったと思って入ってみたが、この有り様だ。
午前二時を回っているのに嫌がらせする奴が居るのかと、窓を開けて怒鳴る。
キャハハハハ・・・。
笑い声だけが、俺の耳元を通り過ぎた。
俺の彼女はベッドで固い表情のまま一点だけ見つめて、ぶつぶつ言っている。
「なんだ!?どうした!?」
俺は声を掛ける。
何かがベッドに上がり、跳び跳ねているようだ。
キャハハハハ。
誰も居ないのに、声だけが聞こえる。
不意に彼女はベッドから転がり落ちる。
彼女は大きな声で念仏を唱え始めた。
すると、
「バカジャナイノ。」
と、はっきり聞こえた。
するとその声が、彼女と一緒に念仏を唱え始めた。
俺は発狂しそうになりながら、彼女を抱き抱えて、車に飛び乗ってラブホを出た。
彼女は尚も念仏を唱えている。
「もう、良い!止めろ!」
俺が彼女を怒鳴ると、念仏をやめた。
「まったく、何なんだあの部屋は・・・。」
突然彼女が運転する俺に飛び掛かってきた。
車はスピンして、街路灯に激突した。
「い、痛い・・・。何するんだ!」
俺は見たこともない彼女の顔を見た。
「バカジャナイノ」
彼女は言った。



