「そういえばー…もうそろそろ夏休みだよねぇ」
ある日の放課後、いつもの3人でいると香代先輩が唐突に、それはもうただ思い出したかのようにそう呟いた。
「ですねー。
休めるのは嬉しいけど宿題がなぁ」
私が思わず溢すと、香代先輩は苦笑いをした。
「んなもん、やらなきゃいーんだよ」
………なんて言ってる晶は放っておいて。
「ねー、夏休みだけどさぁ、私少し用があって別荘の方に行かなきゃなんないんだよねー…」
「別荘…ですか?」
え、香代先輩別荘なんて持ってるの?
………お金持ちさん?
「あぁ、ツツジは知らないよな。
モカの親、医者なんだよ」
「医者!?」
す、すご…!
具体的に何がどう凄いかって言われるとわからないけど、なんかそれくらい驚いてる…。
「まあそれは良いんだけどねー。
それで、もし良かったらツツジちゃんも遊びに来ないかなーって~。
ついでに藤も」
「てめぇ…」
『ついで』呼わばりされて晶が一瞬ムッとした表情を見せた。