それから、モカに『嫉妬』なんて単語を出されて思いっきり動揺して、モカに『好きなの?』って聞かれて、さらに動揺した。
そんなんじゃないってその時は本気で思っていたけど、あながち間違ってもいないかもしれない。
多分俺は、ツツジが好きなんだ。
モカや不良仲間みたいに、人としてはもちろん…異性として。
そうでもなければ進んで手伝いなんて、俺がやるわけない。
だから今…友達って言われて嬉しいと同時に、こんな気持ちになっているんだ。
ツツジは、純粋に俺を友達だと思っている。
それ以外の感情で、俺を意識したことなんてないんだろう。
男性恐怖症なのはわかっている。
だけど俺は、『俺なら大丈夫』なんて言葉に浮かれているのかもしれない。
俺はツツジの特別だって。
少し、誇らしいのかもしれない。
「…………っ、おい、ツツジ!
待てよ、俺も行く!」
「え?」
本校舎に今にも入りそうだったツツジに向かって大声を掛けて、ツツジを追いかける。
ツツジはきょとんとこちらを見て固まっていた。
「………俺もって、本校舎に?」
「おう。たまには屋上で昼寝でもしようかと思ってな」
「昼寝!?授業じゃないの!?」
「んなめんどくさいもんパスパス。
別校舎の屋上、鍵かかってるから出れねーの」
「あぁ…そう」
ツツジは呆れたようにため息をついて見せるけど、別に止める気はないらしい。
でも晶らしいかも、なんて笑ったツツジに、俺の心臓はまた音をたてた。



