ヒツジ、狼と恋をする。




藤崎 晶side





友達、か。



上機嫌で本校舎に戻っていくツツジの背中を見ながら、俺はかつてなくざわついた心に戸惑いを感じていた。



俺は今まで、友達になんて興味はなかった。



人にあわせて行動するのは嫌いだし、だからといって誰かを従えたいと思うこともない。



俺の世界には、俺一人いれば十分だった。



不良仲間は他校に数人いるけど、きっとモカを入れても両手に収まるくらいの人数で。



俺の世界は自分と、俺にとって居心地のいい人間しかいないちっぽけな世界で、だけど、俺はそれに満足していた。



それなのに…最近は、何故かツツジが気になって仕方ない。



最初の出会いで驚かれ過ぎて逆にこっちが驚いて、かと思えば普通に話したり、普通のやつは不良を怖がるもんなのに意外と度胸あるのか?なんて不思議に思って。



モカにどうしてもって頼まれて行った遊園地で、何の策略かツツジと二人きりにさせられて、普段なら即行で帰るのに。



何故か『こいつとなら』なんて言葉が頭によぎって、俺らしくもなく人を気遣うような誘い方をした。



行ったことのない遊園地で乗ったことのない乗り物に乗って、肉まん食べて、笑って。



………いや、ジェットコースターは何度か死ぬかと思ったけど。



でも楽しくて、優しいとか言われて、なんか嬉しくなった。



なんとなく…自分でも気付き始めてた。



ツツジに向ける感情は、どこか他のやつに向けるものとは違う。



放っておけなくて、遊園地でガラの悪い奴らに絡まれてたときも、俺が守らなきゃって。



ツツジはどんな飲み物が好きかさんざん悩んで、挙げ句の果てに決まらなくて買った定番のオレンジジュースを投げ出して、ツツジをその場から連れ出した。