藤崎 晶side



「ただ………」



観覧車の中、そう言いかけて俺はふと口を動かすのを止めた。



ヤバい。



なんか俺らしくねーこと考えた。



誤魔化すために外を見たら、丁度一番上に来ていたようで、まるで写真みたいに、綺麗な夕焼けと遊園地の全体が映っていた。



「夕焼け…綺麗だね」



そう言ったツツジには短い言葉しか返せなかった。



今まで俺は、可愛いとか優しいとか、そんなこと言われたことなかったし。



いや可愛いの方はどうかと思うけど。



なんか…変な気持ちになる。



胸がザワザワするって言うか、なんとなく落ち着かない。



くすぐったくて、訳がわからなくなる。