ヒツジ、狼と恋をする。





そんなことを考えながら遠ざかる晶の背中を見ていると、ついに晶が見えなくなった。


と言っても、曲がったし、人がいっぱいいるから見失うのなんて一瞬なんだけど。





あとは何に乗ってないっけ?


ジェットコースターは園内のやつ全部制覇した。


コーヒーカップは、あんな近距離になるのは流石にまだ無理だから却下で。


観覧車も同じで…。



「ねーそこの可愛いキミ~」



あとは何があったかな。


メリーゴーランド?


私は良いけど…晶はなんか乗らなさそう。


っていうか、正直似合わない。



「あれ~?無視?」



瞬間、ぐわっと視界を何かが遮る。


ん?と思ったときにはもう、目の前にあって。


それが知らない男の人の顔だとわかるのに、5秒くらいはかかっただろう。



「っ!!ひゃあぁあ!?」


「おっ、良い反応。
ごめんね~驚かせちゃって~!
俺たち怪しい人じゃないよ~」



いやいやいやどう考えても怪しいです!!


待ってまず近い!!



「キミ一人?
良かったら一緒に遊ばない?」


「ひっ……!」



無造作に肩に掛けられた腕に、鳥肌が立つ。


嫌だ…触らないで。


汚い。気持ち悪い。


振り払いたい―――その気持ちとは裏腹に、体は鉄になってしまったかのように動かない。



「ほらほら、立って!
俺らが色々奢ってあげるからさ」



ぐい、と引っ張られ、なすすべもなく立ち上がらされる。


私を挟むように両側に立つ二人の男は、ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべていて。


足がガクガクと震えた。



「いや…嫌だ…助けて…」


「んー?何か言った?」


「助けて…離して…気持ち悪い…」


「は?今気持ち悪いっつった?
折角人が奢ってやるって親切にしてやってんのに」


「汚い…怖い…やだ…助けて…!!」


「汚い…?
さっきからお前、バカにしてるわけ??

ふざけんなよクソアマ!!」


「ひぅっ!!」



ガンッ!と一人の男がゴミ箱を蹴りあげた音に、腰が抜ける。


ペタン、とその場に座り込んでしまった。



「あらら~?
俺ら挑発しといて、腰抜けちゃったわけ?
残念だね~!」


「よしよし、じゃあ俺が運んでやるよ」


「いやっ!!」



パンッ!と男の手を払う。



「…………マジ頭きた。
口も聞けなくしてやる!!」