「……………あの」



何かがおかしい。



10メートルくらい離れた先にいるのは、藤崎くん。



私たちは今、学校にいるわけではない。



恋人たちが待ち合わせに使うような大きな時計という目印があるここで、私たちは場違いな程に浮いているだろう。



むしろ、場違いそのものである。



もちろん二人とも制服でなく、これであと数メートル距離が近ければ今にもデートに行きそうなものだ。



「…………なんでこうなったんですか」



「んなの知るかよ」



「……ですよね」



前よりも藤崎くんに対する恐怖心が薄くなったとはいえ、それでも怖いものは怖い。



男性恐怖症の私が、何故藤崎くんと二人でこの場にいなければならなくなったのか。



その理由は、多分3日くらい遡るとわかる…と、思う。