「………アキラ?」
私の口からでた男の子の名前に、葵が眉を潜める。
あ、そうだ。
男性恐怖症、すっかり忘れてた。
「あのね。
晶って男の子の友達なんだけど…。
私ね、晶は怖くないの!
あといずみさんって言う香代先輩の彼氏さんがいるんだけど…あ、香代先輩って言うのは晶の幼馴染みでね…!」
「………そっか」
言いたいことがありすぎて何から言えばいいのかわからないでいると、葵が私の頭をぽんと撫でる。
驚いて葵を見ると、優しく笑っている。
「………良かったな」
「………!うん!」
えへへ、と笑うと、葵はまた頭を撫でてくれた。
「俺はサークルの合宿なんだ。
森の斜面使って鍛えてたんだけど、いつの間にか出口わからなくなってね。
ツツジが叫んでたから、そっちに人いるんだ!って思って。
ともかく、助かったよ」
「サークル…部活みたいな?
確かバスケだったよね」
「うん、そう。
明日はビーチでやるんだってさ。
砂浜って足とられるから、鍛えられんの。
ただ、ボール弾まないしドリブル出来ないんだけどね」
「へぇ…。
じゃあ、明日会うかもね!
私たち、明日海で泳ぐつもりだから!」
「そうなの?じゃあ会えるね」
もう山の中にいる怖さも忘れて、笑い合う。
いきなり葵がいるんだもん。
ビックリだよ。
「さて。
明日もあるし、そろそろ帰ろうかな。
上まで1人で行ける?」
「大丈夫だよ!
もう子供じゃないんだから!」
「そうかなぁ~。怖がりのくせに」
「うっ…。
でも、大丈夫だもん!!
明日あるんでしょ!早く帰って!」
「あははっ、はいはい」
無理矢理背中を押すと、笑いながらバイバイ、と手を振ってくれる。
私も手を振り返して、再び頂上を目指し始めた。



