………これは、昔のこと。



『やだぁ!!助けて!誰か!!』



『うっせーな!黙れガキ!』



『いやぁぁぁあぁ!!』



小学校からの帰り道に、私は誘拐されそうになった。



側に止まった黒い車。



真っ赤で小さい傘を落とした私に、容赦なく降りつける雨。



街灯が照り付ける、頼りない明かり。



そんな中で繰り広げられる、多勢に無勢の体格の良い男たちと幼い私の攻防。



まだ幼い私でさえ、誘拐だってことは目に見えてわかった。