その嘘に踊れ


「シラは切り通せないぞ。
昼間、街中でおまえを狙ったスナイパーは、あの狙撃ポイントで死んでいた。
訓練を積んだ特殊部隊出身のプロが、抵抗した痕跡もなく首を折られていたンだ。
おそらく瞬殺、相手は返り血も浴びていないだろう。
おまえを追跡していたプロも同様、首を折られて駅の男性用トイレに詰め込まれていた。
ドレもコレも『Unnamed Children』の腕で出来る業じゃない。
な?おまえらのバックに大物がついているコトは、もう割れているンだ」


はぁぁ?

ナニ言ってンの?
ナニ言ってンの?

全っっっ然、心当たりないンだケド。

首を折られたスナイパーの話が事実なら。

放たれた最初の弾丸の軌道で、狙撃ポイントを割り出した『誰か』がいたってコトだ。

そして急行、二発目が発射された直後には到着、スナイパーが移動を開始する前に殺しを完遂した『誰か』がいたってコトだ。

なんという速やかな凶行。

首を折られた追跡者の話が事実なら。

多目的トイレに潜んでいた俺とデイジー、それどころか駅に大勢いた人々の誰にも気づかれずに殺しを完遂した『誰か』がいたってコトだ。

そしてやはり誰にも気づかれず、使用される頻度が最も低く、事件の発覚が遅れそうな男性用トイレの個室に死体を隠した『誰か』がいたってコトだ。

なんという大胆且つ静かな凶行。

全てが事実なら、その手腕、もはや芸術の域。

確かに『Unnamed Children』の腕で出来る業じゃない。

誰なンだ?
一人?それとも複数?

本当に、全然心当たりがない。

確実に言えるコトはコレだけ。

その『誰か』は…
俺を守ったってコトだ。