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覚えている。




今でも鮮明に覚えている。






落ちたお父さんの姿。


それを見下ろす聖の姿。





でも、それは真実じゃあ、なかったんだ………―




*





そんなある日、俺は、妖に憑かれた。




もう、ダメだと思った。




優菜を守れない、と。


ならば、先に話しておこうと思って





俺は、優菜を学校の屋上へ呼んだ。








その時に優菜はもう、俺と新しいクラスメイトとしての人間関係を、築き始めていて、






優菜のなかにはもう、

“幼なじみのホシ”としての俺の姿はなかった。






全てを話そうと、優菜の瞳を見つめたその時。


なにがあったのだろう。









優菜は、その瞬間、全てを思い出した。


全てを思い出して、そして













―俺に、キスをした。





そして、ただひとこと、

優菜は





「ごめん。」





と、俺に謝った。
















ごめんの意味を聞こうとした、次の瞬間、





俺の魂は妖に捕らえられ、


















妖になった俺は、優菜を突き落としていた………―。