あれから、数日がたった。 私は、相変わらず自分の部屋で涙をこぼしていた。 ―ふわり 開け放した窓から金木犀の香りが漂う。 また、秋が来る。 秋の香りを運んでくる風に身を任せて、 そっと目を閉じる。 ―『優菜』 その時、あまりにも懐かしい、お母さんの声がした気がした。 驚いて周りを見渡すも、 なにも、誰も 見当たらない。 私は気のせいかな、とため息をつくと 久しぶりにそっと、自分の部屋の扉を開けた。